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2007年06月04日

#4 一緒に死んでくれますか?


「あの、よろしかったら
 私と一緒に死んでくれますか?」




………


「いいですよ。」


考える間もなく、条件反射的にそう答えて
互いにファンキーにニヤついた。


僕らはお互いに現実の生活に絶望していた。
でも面白いことやジョークはとても好きだった。



でも彼が言ったこの一言が
ジョークであろうとなかろうと
関係なかった。


「じゃあ自殺しましょう」


「一緒に飛び降りなんてどうでしょう」


「そうしましょう」


「あの高いビルなんていいですね。
 あそこから飛び降りたらさぞかし
 爽快なダイヴができるでしょうね」


「いいですね〜!」


息をつく間もないほどに軽快に進む
会話の流れに心躍らせ、内容の意味より
その場の雰囲気と共有する空気感を楽しんだ。

こんなときの僕らは
いつだってポーカーフェイスさ。
だって面白いってこういうことだろう。


いつまでだって続けられそうな
やりとりが当たり前に自然さと
いうものを悠々と教えてくれる。

内容が思いっきり、常識はずれで、
不自然な会話ほど、その流れの
鮮やかさには僕らは酔いしれる。


矛盾という調和をこのときに
存分に感じることができる。




「とてもよく晴れた日なんかいいですね」


「快晴の日に空を飛び風を
 感じながらなんて粋ですね」


「じゃあ後日」


僕らは何故を、問わない。

息の合ったやりとりにだけ
許される空気感を互いに
承知しているからだ。



……………



屋上は少し風が強く、頬をなでる。

空は何処までも青かった。



「せーので一緒に」


「はい、せーのッ!でね」


…ニヤッ


「おっと、不意打ちはよしたまえ」


「ははは」


彼もいつもに増してニヤけている。

なるほど今日は新たな門出というわけか。
晴れ晴れしい気分で風を感じるのもいいものだ。


「それでは、はりきって逝きましょー」


「どうぞ!」


「っせーのせいッ」


…はッぁ



「ひゃッ☆ほーーーう」



僕らは勢いよく飛んだ。

軽快なこれまでの人生で一番軽快な足取り、
体が軽かった。


次の瞬間、


ものすごい風を感じて落ちてゆく僕ら。


風が、向かい風が…


「キモチイイ!」


「チョーキモチイー!」



加速していく僕ら。

急降下は御機嫌かい?




YEEEEEEEEEEEE===AHーーーー!!




木霊する絶叫。

ビルディングの合間を軽快にすりぬけて。


ッハー〜〜はっぁ……ぁあ!っッッ――。



最・高・調〜…〜★・★・★



それほど長い時間味わっていられない
絶頂をを儚くも切なくも…



いよいよ、


眼下の灰色が今にも迫ろうとする矢先、

不意に彼の姿が見えなくなった。



バサッ!!フワー



豪華に風を受ける音と
共に戦線離脱していく。

パラシュートを展開して
彼は落下速度を抑えた。


彼はニヤニヤして落ちていく僕を見ていた。



ちィッ!!

思わず舌打ちして、



バサッ!!


時間差で自分もパラシュートを展開した。



フワー



僕らはマヌケにも優雅に
都会の空をゆっくりと舞い降りた。





フワ〜■










posted by EVILITH at 03:08 | TrackBack(0) | メインコンテンツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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